仏経済成長率、4-6月期にマイナス13.8%(前の期比)

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7月31日発表のINSEE統計によると、フランスの経済成長率は4-6月期に前の期比でマイナス13.8%となった。第二次世界大戦後で最大の後退幅を記録した。
経済成長率は、2019年10-12月期にマイナス0.2%と後退に転じていた。2020年の1-3月期には、新型コロナウイルス危機の影響を受けて、マイナス5.9%と大きな後退幅を記録していた。外出制限の期間が最も大きく重なった4-6月期には、さらに後退幅が大きくなった。ただ、INSEEはこれまで、4-6月期の成長率はマイナス17%に上る恐れがあると予想しており、それに比べると発表された数値は小さめとなった。それでも、同期のドイツ(マイナス10.1%)や米国(マイナス9.5%)と比べると、フランスの後退幅は大きい。
4-6月期には、個人消費支出が前の期比で11%の後退を記録。前の期の5.8%減に続き、2四半期連続で後退した。4-6月期には、平時に比べて個人消費支出が35%低い水準に低迷した。ただ、外出制限の終了後には顕著な回復を見せており、6月には、危機直前の2月の水準まで復帰した。他方、輸出は4-6月期に前の期比で25.5%の大幅後退を記録。1-3月期の6.1%減と比べてさらに後退幅が大きくなった。これは5四半期連続での後退でもある。4-6月期の経済成長率における外需の貢献度はマイナス12.3ポイント分となっており、後退のかなりの部分が外需に由来していることになる。ちなみに、4-6月期の輸入の減少率は17.3%と、輸出の減少率よりも小さく、貿易赤字は5月には71億ユーロと、前月から20億ユーロの拡大を記録。過去最大だった2017年1月の74億ユーロに迫る数字となった。輸出の柱の一つである航空機産業が新型コロナウイルス危機で甚大な打撃を受けていることから、貿易収支の悪化は今後も続くとみられる。
今後の景気回復の足取りは、個人消費支出がどの程度回復するかにかかっている。外出制限に絡んで、家計が消費に回せずに積み上げた貯蓄資金は750億ユーロに上るともみられており、それが順調に消費に振り向けられるとしたら、景気回復を加速する要因となることが期待できる。ただ、危機の影響を受けて雇用情勢は芳しくなく、家計が先行きの懸念を強めて貯蓄を維持する可能性も高く、先行きへの信頼感の回復が課題になるものと考えられる。