カステックス首相は25日、ニース市を訪問した。ダルマナン内相及びデュポンモレティ法相を従えて訪問し、治安対策に本腰を入れる姿勢を示した。
このところ国内では、暴力的な事件の発生が大きく報じられ、治安懸念が高まっており、首相はそれが政府批判の材料になるのを封じる目的で、今回の訪問を行った。ニース市は、保守野党の共和党所属のエストロジ氏が市長を務めているが、ここ数日間で銃撃戦の発生や変死体の発見などが相次いでいる。チェチェン系の「自警団」が絡んだ騒乱事件の発生も記憶に新しい。カステックス首相は訪問の機会に、エストロジ市長が要望していた市営警察の権限拡大を承認。ニース市側はこれを受けて、80人の増員を行うことを明らかにした。増員が実現されるまでの間、60人の警察官が追加で同市に配属される。
首相はまた、一部の都市で試験導入が始まった麻薬所持への罰金処分適用(200ユーロ)について、夏休み明けにも全国で適用すると予告した。麻薬密売団の顧客である末端の消費者に対して、裁判を経ずに罰金処分を適用することにより、顧客の動きを封じて、密売団への需要を断つ狙いがある。暴力的な事件の多くは、麻薬関連の抗争を背景に発生していることもあり、政府はこの措置の効果に期待をかけている。また、ニース市のためにはこのほか、定員650人の刑事施設を整備し、裁判所の有罪判決の執行が徹底されるような体制を整えることが予告された。