2020年7月14日 編集後記

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COVID-19対策を通じて、医療関係者に対する世論の評価が高まった。筆者も急病で、といってもCOVID-19とは関係がないのだが、急遽近所の公立病院の救急外来に行ったところ、待合室での待ち時間がやたらと長かった(これは患者数がやたらに多いので仕方あるまい)以外は、受付の担当者から医師まで非常に丁寧に、かつ、てきぱきと対応してくれた。 一連の検査を処方されたので、検査ラボと連絡をとったら、そこでも受付の担当者がこちらが恐縮するほど親切に対応してくれて、数日内に検査を受けられる予定が整った。検査に必要な医薬品を購入するために寄った薬局でも、フレンドリーな微笑みを絶やさない薬剤師が対応してくれて、検査に間に合うように薬を取り寄せてくれることになった。
フランスの医療はサイロ型の縦割り構造になっているため、重症者・重傷者はともかく、通常は患者が病院、検査ラボ、 薬局などをそれぞれ自分でまわり、予約もあらためて別途にとる必要がある。体調が悪い時に自力でこうした手続をこなすのはなかなか辛いものがあり、一つの総合医療機関の内部で全てを取り扱ってくれれば効率も良く、患者の苦痛も軽減されるのではないか、と毎回思うが、これは制度的な問題なのですぐには変わらないだろう(いや、将来も変わらないかもしれない)。
そうした制度的難点を抱えつつも、各々の組織のレベルでは患者とのインターフェースをできるだけ快適で柔軟なものにしようとする現場の配慮や努力がひしひしと感じられたのが今回の医療機関まわりの嬉しい教訓だった。その喜びを噛み締めつつ、痛みをこらえている。(友人からは面倒なアポ取りなどは家族とか秘書にやってもらえば?とからかわれたが、そういう便利なパートナーがいない孤独な高齢独身者の立場にもぜひとも配慮していただきたいものである)