アルストム、バラン県工場の売却を予告

鉄道機器大手の仏アルストムは9日、カナダ同業ボンバルディア・トランスポートの買収計画に絡んで、一連の資産売却を予告した。買収計画を審査中の欧州委員会が、競争問題に関する懸念を表明したことを踏まえて、欧州委の許可取得を目指して一連の譲歩を提案した。欧州委はこれを踏まえて7月末までに買収の可否を決める予定。
アルストムはまず、バラン県にあるローカル線等向けの車両工場の売却を予告。同工場は従業員数が783人、仏国鉄SNCFの「Regiolis」型車両などを製造している。同工場の手持ち工事量(Regiolisが326台、「Coradia Liner」が61台など、2024年までの事業に相当)を込みで売却する。アルストムはまた、買収対象のボンバルディア・トランスポートの一部事業の売却も提案。ボンバルディア・トラスポートは、ボンバルディアが2001年に買収した独アドトランツを母体としており、ドイツに足場を持つことから、ドイツにおける寡占状況の出現を避ける目的で、ローカル線向け車両「Talent 3」の開発事業とそれに対応するベルリン近郊の拠点を売却。このほか、イタリア高速鉄道車両「V300 Zephiro」開発計画に有する権益を売却し、一部のインターフェース(信号システム、車載統御システム)への第3者の出資を受け入れる。バラン県工場の従業員らは、売却対象になることに深く動揺しており、地元は強く反発している。
アルストムが売却する資産には、日立が関心を持っていると報じられている。中国大手の中国中車(CRRC)も関心を示している模様だが、欧州委がその買収を認める可能性は低い。