2020年7月7日 編集後記

投稿日: カテゴリー: 編集後記

エンニオ・モリコーネが6日に死去した。映画音楽の巨匠としての評価を揺るぎないものにして、91歳で亡くなったのだ から、訃報をさほど悲しいとは感じない。映画は好きでよくみるが、特にシネフィルというわけでもない筆者のような 人間は、それぞれの作品の音楽の作曲者まで注意していないことが多いのだが、この機会に作品リストを眺めてみたら、 「おお、これもモリコーネだったのか」と思う映画がたくさんあり懐かしい。
セルジオ・レオーネのウエスタンが大好きな人間には、モリコーネの音楽は昔から親しいものではあるが、一般的には 「ニュー・シネマ・パラダイス」とかのほうが評価が高いのだろうか?ぱらぱらと読んだ印象では、日本の新聞はこち らを代表作としてあげている報道が多く、フランスの報道ではこの作品に言及すらしていないものが多いのが面白い。 フランスにはウィトゲンシュタインと同じく西部劇こそ映画の醍醐味と考える評論家が多いのかも知れず、そうである ならおおいに共感できる。
「ニュー・シネマ・パラダイス」の主題曲はたしかに有名で、よく耳にするし、美しいと思うが、映画館と映画を称え る映画作品、というあたりがちとむず痒い気がして(勝手な偏見に違いないが)、筆者はみたことがない。例えばモリ コーネと最後にコラボした監督であるタランティーノの作品も映画へのあからさまなオマージュではあるが(もちろん レオーネのマカロニウエスタンだってハリウッドの正統派西部劇へのオマージュだろうが)、もっと「俗悪な」ジャン ル(B級映画、という呼称は好きではないが)への愛がこめられていて、こちらのほうが個人的には趣味にあう。タラン ティーノの「ジャンゴ」について、流血だらけで好きな映画ではないとモリコーネ自身が批判的だったのは、いささか 残念ではある。現実の生活で暴力や流血が苦手なぶんだけ、映画における暴力シーンや流血シーンでストレスを解消す るのが大好きな人間には理解不能な反応だ。
映画が今後もますます美しい音楽と大量の血を流してくれることを期待したい。