フランス政府は6月30日付で、北大西洋条約機構(NATO)に対して、地中海警備作戦「シー・ガーディアン」から一時的に撤収すると通知した。トルコ政府の対応を問題視し、現状では作戦への参加はできないと通知した。
フランスはこの作戦に、哨戒機とフリゲート艦1隻を投入していた。去る6月10日には、作戦に参加する仏フリゲート艦とトルコのフリゲート艦の間でリビア沖にてインシデントがあり、トルコ側がレーダー照射を行う場面にまで発展した。フランス側は、トルコがリビアの挙国一致政権に対して、禁輸措置を犯して軍備を供給し、傭兵部隊を送り込んでいるとみており、同日にも、トルコ艦船が護衛する貨物船を仏艦船が拿捕しようとしたところでインシデントに発展した。トルコ側は、軍備密輸等の事実とインシデントの発生のいずれも否定。国際社会が支持する挙国一致政権をトルコが支持するのは正当であり、フランスこそ、挙国一致政権と対立するハフタル将軍の勢力に一部諸国が軍備を供給するのを看過している、などと反論している。
仏政府は6月17日にNATOの閣僚会議でこの問題を取り上げ、NATOは調査を約束したが、調査報告書(非公開)はトルコの責任を明確には認めない内容になったといい、仏政府は、NATOに対する圧力を強めることを狙って、作戦からの一時撤収を決めた。