盗難古美術品の売買容疑で大物関係者らが追及の対象に

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司法当局は26日までに、古美術品売買で著名な関係者2名に対して、詐欺、資金洗浄、文書偽造及び同行使の容疑で、予審開始を通告した。予審は担当予審判事が起訴の是非を決めるために行う裁判上の手続き。当局はこのほかに3人から事情を聴取したが、3人は今のところ正式な追及の対象とはなっていない。
政情不安定な中近東諸国で盗難された古美術品の売買は、テロ組織を含めた犯罪団の資金源になっているものと考えられる。今回の摘発は、そうした盗品を表社会に出して、正規ルートでの取引を可能にする段階で関与した疑いのある人物たちが対象になった。問題になっているのは、2017年にニューヨークのメトロポリタン美術館が350万ユーロで購入した「Nedjemankhの棺」で、これは、2011年の「アラブの春」の混乱に紛れてエジプトから盗難されたことが判明した。この棺は、パリでの競売を経てメトロポリタン美術館が買収したが、その際に、国際条約が発効した1971年以前にエジプトから正規に売却された旨を示す証明書が伴っていた。売却を手配した古美術商のクリストフ・キュニキ氏とその協力者の2名が今回、予審開始通告を受けた。当局は、この件を含めた一連の盗難美術品の売買について責任を追及しており、その枠で、オークションハウスのピエール・ベルジェ&アソシエのアントワーヌ・G会長、パリの古美術商のダビッド・G氏、そして、ルーブル美術館のオリエント部門の責任者を務めたアニー・C氏の3人も事情聴取を受けたが、今のところ予審開始などの決定は下っていない。