全国管区金融犯罪検事局PNFは23日、大統領府のコレール長官に関する利益相反の疑いでの捜査を再開することを決めた。担当予審判事が近く任命される。
コレール長官は、2010年から2016年まで、国家出資庁(APE)の責任者として(2012年まで)、またマクロン現大統領の経済相時代の官房長(2014-16年)などとして、STXフランス(現アトランティック造船所)の買収案件に関わったが、コレール氏は同時に、買収案件にも関係していたMSC(クルーズ船運航)のオーナーの親戚でもあり、2016年に退官後、2018年にマクロン大統領の下で長官に就任するまでの間、MSCの重役を務めた。これが利益相反に当たる疑いが以前から浮上しており、PNFも予備捜査を行ったが、2019年夏の時点で捜査を打ち切る決定を下していた。
今回の捜査再開決定は、汚職糾弾団体のAnticorの提訴に応じる形で下された。Anticorは、ニュース専門サイトのメディアパルトの報道を踏まえて、新材料を提起。これによると、捜査打ち切りの決定が下る前の時点で、コレール氏の弁護団はマクロン大統領の署名入りの書簡を提出。大統領はこの中で、コレール氏からMSCのオーナーと親戚関係にあることの通知は受けていたし、MSCに復帰する意志についても知らされていたなどと証言していた。PNFは、ウレット検事正が2019年6月末に辞任した直後、検事正代理を務めた2人の検事の下で捜査打ち切りの決定を下したが、これについては、ウレット検事正が去る10日に国会調査委で行われた聴聞の際に、決定を問題視する発言をしており、検察当局への政府の介入を示す事案として、野党の一部はマクロン大統領らに批判の矛先を向けていた。こうした背景の下で、PNFも捜査の再開に踏み切った。