パリの高級食材店フォションが6月23日、再建型破産手続をボビニーの商事裁判所に申請した。対象はパリ市のマドレーヌ広場にある本社および3店舗で、これらは「フォションSAS」という子会社を構成しており、従業員数は130人。店舗の一つは2018年に開業したホテルの中にあるが、ホテルは破産手続の対象外。
フォションSASの事業は2015年に起きたパリ同時テロ事件あたりを境に低迷し始め、2019年も黄色蛍光ベストの抗議行動や年金改革反対運動などで書き入れ時のクリスマス時期に客足が遠のいていたが、今春からの新型コロナウイルス危機で観光客が途絶えたのが追い打ちとなった。
フォションは1886年の創業で、親会社フォションSAは日本や中東を含めて世界で73店舗を展開している。マドレーヌ広場の店舗での売上はグループ全体の売上の1割程度に過ぎず、フォションSA自体が破産したわけではないが、こちらも抗議デモや新型コロナウイルス危機の影響で業績は悪化している。