フランス政府が投入した新型コロナウイルス感染防止アプリ「StopCovid France」の成果が期待外れに終わっている。オー・デジタル閣外相が23日、中間成果を公表しつつ、アプリの意義を改めて強調した。
政府はこのアプリを3週間前にリリースした。これまでの利用者数は190万人で、これは全人口の3%に過ぎない。効果を得るには人口の10%以上の利用が必要であり、いかにも不十分な水準に留まっている。これまでに、新型コロナウイルスに感染したことをアプリに登録した人の数は68人で、アプリのおかげで警告を受けた人の数は14人に過ぎない。
アンインストール数の増加も懸念材料で、リリース以来では46万人がアンインストールした。このところは1日につき数万人と加速している。15日にメディアパルト(ニュース専門サイト)が、アプリが中央のサーバーに吸い上げるデータが当初発表されていたのよりも広範であると報じたことで、プライバシー保護上の問題点に懸念が集まるようになったことも影響している。アプリは、1メートル以内に15分以上留まった人の暗号化されたIDを取得して保存すると説明されていたが、実際には、長時間にわたり接触が継続された人のIDが特定できるようになっているなど、より幅広い情報が収集されているという。この件はCNIL(個人情報保護機関)への提訴の対象となっているが、オー閣外相は、25日にも修正版のアプリの配布を開始して対応すると説明した。
アプリ開発を巡っては、政府が特定の業者を不正に優遇した疑いがあるとして、汚職糾弾のNGOであるAnticorが検察当局に通報を行っている。アウトスケール社にデータのホスティング業務が入札を経ずに委託された件などが問題視されている。閣外相は、通報に過ぎず、捜査も開始されていないと説明。アウトスケールとの契約の規模は、12月末までで月額4万ユーロ未満、アプリのメンテ及び開発の費用は月額6万-8万ユーロ(これまでLunabee社が受託)などと数字を挙げて状況を説明した。