EV利用者を混乱させるフランスの充電器網

6月23日付の仏ルモンド紙は、最近に電気自動車(EV)を購入した記者の実体験も交えて、フランスでのEVの充電に関する問題を取り上げた。この記者によると、EV充電器のコンセントの形状には5種類があり、それに応じたプラグが必要だが、自分のEVについてきたのは2種類の充電用プラグのみだったという。また充電器の電圧も3種類以上がある。公共充電器は無料で使用できるものが多いが、故障や不具合も多い。有料の充電器の場合、料金が表示されていなかったり、最初の1時間の料金は1ユーロだが、2時間目からは30ユーロに跳ね上がるというような不当な料金設定もみられる。また支払いも通常の銀行カードを受け付けないことが多く、事業者が発行する専用のパスを入手しなければならないが、規格の統一や互換性がないため利用者の混乱を招くという。日産が大手流通店に設置した充電器が、同じアライアンスに属すルノーの代表的EV「ゾエ」の充電には使用できない、という不可解な状況もある。
現代自動車(韓国)のフランス事業責任者によると、同社の顧客の8割から9割は自宅か職場で充電しており、現状ではEVによる長距離移動には充電の困難が伴うために、EVは社用車としての利用か、都市郊外の一戸建て住宅に住む個人が2台目の自家用車として用いるケースなどに限定されているのが実情だという。
ルモンド紙は現在の充電器整備の問題点として、高速道路沿いの急速充電器の不足と、集合住宅居住者の充電器へのアクセスをあげている。高速道路沿いの急速充電器については、電力大手EDFの子会社Iziviaが運営していた主要充電器網「Corri-Door」を技術的問題を理由に大部分閉鎖してしまったため、現在利用できるのは複数の自動車メーカーのコンソーシアムが運営するIonityの充電器網のみとなっており、こちらは料金も比較的高い(走行距離300キロメートル当たり25-40ユーロ)。
仏政府は国内に10万基の充電器を整備するという計画(現在は3万基)の実現時期を1年前倒しして2021年末とし、1億ユーロの追加投資を約束したが、充電器と電力網の接続を担当するエネディス(EDFの配電子会社)によると、政府の計画では充電器のタイプとその設置場所が必ずしも利用者のニーズに適していない面があるという。シア・パートナーズ(コンサルティング)の専門家も、事業者が利用者の体験やニーズを無視した形で整備を進めた場合、せっかくの投資が無駄になると警告している。