マクロン大統領が推奨の生産還流、実行の難しい課題に

マクロン大統領は、6月14日に放送したテレビ演説の際に、新型コロナウイルス危機を契機として国の経済的な自立性が低下し、外国への依存が高まっていることが浮き彫りになったとして、生産の国内還流を可能な限りで奨励する意欲を表明した。仏日刊紙ルフィガロは16日付で関連記事を掲載し、国内還流は実行の難しい課題だと報じた。
国際分業論の流れの中で、フランスでも繊維や鉄鋼などの一部の産業部門は大幅に後退し、低賃金国への生産移転が続いた。2002年から2018年にかけてでは、国内の工業部門企業の数は4割も減少し、同部門では100万人を超える雇用減少を記録した。
生産を再開したところで、需要がついてこないことは明白で、コロナ危機時に国内で生産されたマスクがだぶついていることが、それを端的に示している。以前のように生産しても、膨大なコスト高が伴い、価格を押し上げるのは避けられず、消費者の理解は得られない。
そうした中で、産業界は、いわゆる「生産に係る諸税」の減税や、さらには廃止を要求している。こうした租税は、売上高や現金給与総額、事業所の規模などを課税標準としており、利益とは関係なく負担を迫られることから、生産事業を阻害すると産業界では主張している。ただ、この種の租税には地方税も多く、その廃止は地方の財源の喪失に直結する。
高付加価値の生産事業の育成を図ることが現実的な手段となり、フランス政府も参加する欧州レベルでのEV用バッテリー生産部門の育成計画がその代表例となる。EVの付加価値の4割をアジアから取り戻すのが目標で、十分な生産規模が確保されるまで公的援助を通じて生産事業を育成することが課題となる。欧州連合(EU)ではこのほか、生産段階での二酸化炭素の排出量が多い域外製品の輸入に炭素関税を導入する計画が進められている。また、欧州委員会は17日、歪曲的な補助金を支出する諸国への対応策の協議を開始することになっている。