カスタネル内相は6月11日、警官労組の代表との個別会談を開始した。内相は先に、警官による暴力や人種差別問題の対策を公表しており、個別会談ではその問題を協議した。11日には、警官による抗議行動が全国で発生。手錠を地面に投げ捨てる場面を動画や写真にとって公表するなどの抗議行動が行われた。労組の中には、警官に対して、逮捕や出動を拒否するよう呼びかけるところも出ている。
カスタネル内相が発表した措置の中には、首を羽交い絞めにすることにより被疑者等の身柄を確保する手法の禁止が含まれる。警官労組からは、この手段が禁じられると、介入の際の危険度が高まるとして反対する声が上がっている。より根本的には、内相が、警官による暴力や人種差別の問題に言及したこと自体を、警官を不当に貶める行為だと糾弾する声が上がっており、カスタネル内相はもとより、政府とマクロン大統領に対する不満の声が噴出している。警官ではなく犯罪者をかばうのか、とか、黄色蛍光ベストの抗議行動の際には自分たちを守ってくれる警官をほめそやしておきながら、手のひらを返したように警官を悪者にしている、といった感情的な反発も見受けられる。
日刊紙ルフィガロなどの依頼で行われた世論調査によると、「警官によい印象を持っている」と答えた人は、全体の76%と多数派を占めているが、同時に、「有色人種や外国系住民が警官による差別や人種差別の被害を受けている」と答えた人も、全体の65%を占めており、問題があることは国民の大多数が認めている。カスタネル内相の対応については、適切だと答えた人は34%に過ぎず、65%が適切ではなかったと回答している。