マリーアントワネットとフェルセンの書簡、消された部分の解読に成功

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ルモンド紙は3日付で、マリーアントワネットとスウェーデンの貴族アクセル・フォン・フェルセンの往復書簡の解読に関する研究の最新成果について報じた。インクで消された部分の一部が解読された。
フェルセンはマリーアントワネットの寵愛を受け、ルイ16世国王家族が大革命期にチュイルリー宮に幽閉された際、国外逃亡の試みを手引きした(1791年のバレンヌ事件)ことで広く知られている。逃亡事件の失敗後、1791年6月から1792年8月までの間にフェルセンとの間で交わされた23通の書簡が、フェルセンの子孫により1877年に公表され、これは1982年以来、仏国立古文書館(アルシーブ・ナショナル)の所蔵となっている。書簡のうち、15通には、インクで上から消されたために読めない部分が合計で88行あり、その内容が好奇心の対象となっていた。ファビアン・ポティエ研究員らが新鋭の技術と装置を用いて、うち7通と、1通の表ページにある消された部分の解読に成功したという。
ポティエ研究員らは、インクの組成の違いに着目し、統計的なデータ処理の手法を援用して解析し、スキャナーを用いて元の文字を浮かび上がらせることに成功した。消された箇所は、手紙の始まりと最後の部分に集中しており、親愛の情を示す言葉が書かれていた。解読箇所は、恋文めいた内容とは言えず、ある種の愛情関係があったことはわかるが、一夜の逢瀬といった様々な伝説を裏付けるものは見当たらない。ポティエ研究員らは、上書きに用いられたインクの組成が、フェルセンがほかで用いていたインクと近いことから、問題個所を消したのもフェルセン本人だったと推定している。