仏ノバレス(自動車用プラスチック部品メーカー)の事業の継続が決まった。同社は4月末から会社更生手続を受けていたが、債権者との合意が成立し、ナンテール商事裁判所が5月28日、事業継続計画を承認した。ブーレCEOの説明によると、債権者である銀行はノバレスの株式の25%と交換に、3億3000万ユーロの債務のうち2億6000万ユーロを放棄することに同意した。債権銀行が25%を取得することで、従来からの株主である投資会社Equistone(資本の72%を保有)とBPIフランス(公的投資銀行、15%を保有)の出資比率は低下するが、今後も出資を維持する。経営陣にも変更はない。
ノバレスは、新型コロナウイルス危機により大部分の工場が操業停止を強いられる中で、毎日400万ユーロの資金を失っており、生産再開には1億1500万ユーロの資金注入が必要だとしていたが、株主が新たに合計7500万ユーロの資金を貸し付けるほか、また仏政府が新型コロナウイルス対策として導入した公的保証付き融資制度(PGE)も利用して7100万ユーロの融資を得られることになった。
ただし、これでノバレスが完全に危機を脱したわけではなく、世界自動車市場の危機が続く中で、人員削減などの再編を強いられる可能性がある。工場の多くはすでに操業を再開したが、需要が低迷する中で、稼働率は30-70%にとどまっている。ブーレCEOは2020年の売上高が当初の見込みを2割程度下回ると予想している。