仏国会、新型コロナ感染防止アプリについて採決へ

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仏国会は5月27日、政府が開発を主導した新型コロナ感染防止アプリについて審議した後、採用の可否についての採決を行う。ただし、採決結果には強制力はない。下院での審議は午後から、上院での審議は夕刻から開始される。デジタル経済担当のセドリック・オー閣外相は、「国会で採択されたならば、新アプリは、今週末にも投入できる」と言明した。閣外相は、採決に向け、新アプリが強制的なものでなく、匿名性が厳守されること、また、一時的なものであることを説得するため、相次いで国会議員とのビデオ会議を開催した。
新型アプリは、強制的なものではなく、ユーザーの位置情報を収集しないブルートゥース技術を利用したもので、アプリを利用しているユーザーが新型コロナウイルスに感染した場合、そのユーザーが1メートル以内で15分以上接触したその他のすべてのユーザーにアラートを送信するというもので、CNIL(仏個人情報保護機関)は5月26日、定期的なチェックとユーザーに対する詳細な説明を条件に、ゴーサインを出した。しかしながら、アプリに対しては、個人情報保護や個人の自由の擁護の観点から、与野党を問わず賛否両論があり、与党のLREM所属議員の大部分は政府を支持すると見られるものの、棄権や反対票を投じる議員も出る可能性がある。一方、中道右派の共和党では、下院議員の大半が反対しているのに対し、上院議員の多くは好意的というねじれ現象が生じている。左派では、市民の一般的監視につながるとして共産党系議員が反対しているように、多くが反対に回ると見られる。また、極右の国民連合は、個人の自由が十分に保障されていないとして反対する立場を示している。