仏労働省の推定によると、4月には、仏賃金労働者のうち約3分の1に相当する860万人が一時帰休制度を利用した。当局には1130万人分の一時帰休の申請があったが、実際の利用者数は、申請分を大幅に下回った。これは、企業の多くが、万が一に備えて多めに申請していたのが理由と見られる。一時帰休の対象となった労働時間は8億3200万時間となった。週労働時間35時間制に照らして計算すると、一時帰休となった賃金労働者1人当たり2.8週間に達し、3月後半から2倍となった。
格付け会社S&Pグローバルのエコノミストによると、欧州で一時帰休を利用している賃金労働者の割合は、現時点で全体の27%に達している。S&Pグローバルでは、「雇用と世帯所得を維持するのに明らかに貢献した」と評価しつつ、一時帰休制度の条件が段階的に厳格化されるにつれて、特に観光や飲食店、航空、航空宇宙などの業界では影響が大きくなる可能性があると指摘している。仏中小企業連盟(CPME)のアスラン会長も、「商業部門の多くの企業への支援を政府に永久的に求めることはできないということは分かっているが、政府からの支援が縮小されたなら、経済的理由による解雇が余儀なくなるだろう」と警告している。
仏では3月に、1ヶ月以上の雇用(派遣社員を除く)の届け出が65%減少しており、労働市場の悪化は既に始まっている。仏の状況は、3月以来で3300万人が失職した米国とは比較にならないが、失業の増大は、仏でも避けられないと見られる。