新型コロナウイルス危機に絡んで、ペニコー労相は5月13日のテレビインタビューの機会に、外出制限の中でも就労して国の機能を支えた人々にしかるべき処遇をするため、労使協議を近く開始すると予告した。
マクロン大統領は、1ヵ月前のテレビ演説の中で、国の機能を維持するために困難な中で就労を続ける人々の重要性を強調し、そうした中に報酬の水準が低い職種があることを認めて、しかるべき対応を約束していた。ペニコー労相は、産別単位の労使交渉を通じて、賃金水準の上昇につながる見直しを実現すると説明。具体的には、スーパーのレジ係、荷役作業員、トラック運転手、ゴミ収集作業員を挙げたが、労相に近い筋では、それだけに限られるわけではないと説明している。ただ、協議の日程などは明らかになっていない。
ペニコー労相はその一方で、主要労組CGTなどから出されている法定最低賃金(SMIC)の大幅引き上げについては、その可能性を否定。SMICより高めの報酬水準が設定されているが、今回の危機で活躍した職種の処遇が、SMICの引き上げでは実現しないことを理由に挙げた。他方、新型コロナ危機の影響で倒産のリスクに直面する企業も多い中で、賃上げに対する経営者側の反応は慎重であり、経営者団体MEDEFのルードベジュー会長は、恒常的な賃上げではなく、利益分配制度の改善を通じた利用の拡大や、非課税の特別賞与枠の導入などにより対応するのが望ましいと述べている。