INSEEは5月12日に、高額所得者に関する統計値を公表した。2017年のデータを用いて、地理的分布などを調べた。
所得上位1%の富裕層は、世帯の成員1人当たり(筆頭人を1、他の成人を0.5、14才未満の子どもを0.3として計算)の年間所得(課税前・社会給付の合算前)が10万8670ユーロ以上となった。この富裕層の世帯は43%がパリ首都圏に居住している。パリ首都圏における雇用に占める管理職の割合は30%に上っており、これは全国平均の18%に比べて高く、これが高額所得者の分布が偏っていることの一因となっている。その一方で、パリ首都圏内のばらつきは大きく、20%がパリ市内に、10%がオードセーヌ県に居住しており、偏りがみられる。パリ市内では、居住者の6%が所得上位1%に属するが、セーヌ・サンドニ県ではこの割合は0.3%に過ぎない。なお、所得上位0.1%の超富裕層(成員1人当たりの月間所得2万2360ユーロ超)に限ると、その53%がパリ首都圏に集中しており、偏りはさらに大きくなっている。
パリ首都圏以外では、オーベルニュ・ローヌアルプ地域圏に上位1%世帯の11%が居住。最大都市のリヨン都市圏に居住している人が多いが、それに加えて、スイスとの国境に近い地域(アヌシー、トノンなど)でも高額所得者が多い。グランテスト地域圏でも事情は似通っており、主要都市のストラスブール及びランス以外では、スイスとの国境地域における居住が目立つ。
人口密度別では、人口密度の高い都市圏においては、勤労所得が多い高額所得者が目立ち、人口密度の低い地域においては、不労所得が多い高額所得者が目立つ。所得再分配効果を見ると、富裕層では所得の30%が直接税として納税されており、この割合は、全世帯平均の15%に比べて高い。最上位0.1%はこの割合は35%だった。