仏中銀は12日に発表した報告の中で、新型コロナウイルス禍による経済への影響に関する数字を公表した。中銀はこの中で、11日に終了した外出制限による年間経済成長率の押し下げ効果を6ポイント分と推定。事前の推定と同程度の水準に落ち着いた。なお、政府は、2020年の通年経済成長率をマイナス8%と予想している。
中銀によると、フランス経済は4月に、平時の73%の水準で稼働した。3月の68%から多少は回復した。一部の企業が、外出制限の中で事業を再開する道を進んだことが貢献した。工業部門では自動車産業において打撃が最も大きかった。サービス部門では、テレワークの移行を積極的に進めた分野で回復が目立ち、7割超をテレワーク化した出版、情報処理、法務・会計の3分野において回復が最も著しかった。半面、事業がほとんど閉止中の宿泊・外食分野を除くと、サービス部門では派遣業の不振が目立った。
中銀は、5月末時点で、フランス経済の稼働水準は平時の80%程度にまで回復すると予測。景気回復のペースは、個人消費の拡大が順調であるか否かにかかっているが、外出制限中に家計がため込んだ600億ユーロ程度の資金が消費に回るかどうかは、先行きへの信頼感を醸成することがカギになると指摘した。中銀はまた、企業については、今後、倒産を回避するために自己資本の増強を必要としていると指摘。政府に対して、創意工夫のある斬新な自己資本強化の支援策を導入するよう求めたが、同時に、存続可能な企業に支援対象を絞り込むことが肝心だとも付け加えた。