新型コロナ危機で電子署名が急速に普及

新型コロナ危機による外出制限の中で、法的文書への署名が困難になっていることから、電子署名が急速に普及している。欧州連合(EU)は20年ほど前に電子署名の法的枠組みを整備した。フランスでは、一連のサービス業者がAnssi(サイバーセキュリティ機関)からの認証を得ている。電子署名が伝統的な署名と同じ効力を持つためには、Anssiからの認証を得た事業者が提供する手段を用いる必要がある。SMSで受け取った番号や、暗証番号による本人確認の手段が用いられている。仏Wavestone社のサイバーセキュリティ責任者のブーンジュア氏によると、フランスは電子署名ではむしろ進んでいたが、新型コロナ危機により普及に拍車がかかった。外出制限の期間中は無料サービスを提供しているUniversign社は、これまでは大企業の顧客が多かったが、外出制限が実施されてからは中小企業も利用するようになったと証言している。米DocuSign社の仏子会社でも、これまで電子署名利用を躊躇してきた企業の一部が、外出制限を機に利用に踏み切ったと指摘している。
電子署名を最初に採用した業界としては、銀行、保険、不動産の各業界が挙げられる。公証人も電子署名を導入していたが、証書の作成の際には、当事者がその場に揃うことが必要だった。政府は、4月4日のデクレ(政令)により、外出制限を踏まえた時限措置として、ビデオ会議システムを代わりに用いることで、当事者がその場にいなくても証書を作成することを認めた。結婚に準じる権利が認められるPacs(民事連帯契約)、生前贈与、不動産売買などで利用できる。仏不動産業界団体は、この時限措置が恒久化されることを期待している。