スペイン政府は新型コロナウイルス対策として3月30日から全国で経済的な「冬眠」を導入し、必須でない一切の経済活動が停止していたが、これが復活祭の週末明けの4月13日に解除された。必須とはみなされないが、テレワークができない職種に属する企業の活動が部分的に解禁されたが、封鎖措置は解除されたわけではなく、3月14日-31日に適用されたと同じ規制が引き続き適用される。食料品店と薬局を除いて商店・商業施設は閉鎖されたままであり、活動を再開したのは主に製造業や建設業の企業。これと同時に、マドリードをはじめとする大都市の地下鉄駅などで警察や治安警備隊が合計1000万個のマスク(非医療用)を市民に配布し始めた。政府は前日の新規死者数が517人と3月20日以来での最少にとどまったことを明らかにしたうえで(累計死者数は1万7489人)、「封鎖の解除はおろか、緩和すらまだ早すぎる」と警戒を解いていない。「冬眠」中は市民の移動は通常の15%に制限されたとみられているが、「冬眠」終了後の封鎖でも移動は通常の25%程度に維持される。
また政府は11日、職場などでの衛生対策に関する新たなガイドラインを発表し、マスクの着用を推奨し始めた。普通のマスクはウイルス感染に対する完全な防御にはならないが、公共交通機関の中など最低限の距離を確保できない場合に呼吸飛沫の飛散を防止できると説明した。また、少しでも症状がある者や、感染者と接触があった者には出勤を控えて、保健所と連絡をとることを要請した。社会的距離についても、従来の1メートル以上という基準を2メートル以上に変更した。企業に対して時差出勤の導入により交通機関のラッシュ回避に協力するように求めるとともに、職場の消毒と換気、従業員へのマスクや手袋などの供給にも留意するように促した。政府は、非医療用マスクについて、国内での生産の強化も計画している。
政府はまた、出勤を余儀なくされる労働者に対して、帰宅したら靴を脱いでドアの外に置き、鍵や財布は箱に入れて玄関に保管し、眼鏡や携帯電話を消毒し、衣類は洗濯するまで袋に入れて保管することなどを推奨した。
これと並行して、カルロス三世保健院は6万人の抗体検査を進めており、政府はその結果も参照しつつ、次段階の対策を検討する方針。