政府は15日に開いた閣議で、新型コロナウイルスに絡む経済対策等を盛り込んだ補正予算法案を採択した。来週に国会審議される。
新たな補正予算法案は、3月22日に決まった450億ユーロの経済対策を1100億ユーロにかさ上げした。政府はまた、2020年の経済成長率予測をマイナス8%へ下方修正した。経済対策のかさ上げとあわせて、財政赤字の対GDP比は9%にまで膨張する。
補正予算法案に盛り込まれた主な経済対策は以下の通り。▽大企業を対象にした総額200億ユーロの支援予算の設定。ルメール経済相は、数日中にエールフランスへの支援措置が決まる見通しだと説明している。中堅企業対象の支援としては、FEDS(経済社会開発基金)の予算が10億ユーロへ増額される。▽中小企業向けの特別融資に総額5億ユーロの予算を設定。国が直接に融資し、事業が再開して収入が得られるようになるまでは返済を求めない。また、零細企業・自営業者向けの連帯基金は、予算が10億ユーロから70億ユーロへ増額される。援助金の支給条件も緩和され、「直近12ヵ月に50%の減収」(これまでは「2019年3月と2020年3月の間に50%の減収」)に改める。倒産の危機に直面する者に対する地域圏からの上乗せ援助金も、2000ユーロから5000ユーロへ増額される。▽公租公課・社会保険料の納付延期・税額控除の前倒し支給などからなる企業の資金繰り支援措置は、予算が350億ユーロから500億ユーロへ増額された。また、打撃が特に大きい部門(外食、宿泊、イベント等)を対象に、社会保険料等の棒引きに応じることを決定した。この規模は、現時点で7億5000万ユーロに上ると見られている。▽医療関連の対策予算が20億ユーロから80億ユーロへかさ上げされた。医療装備の購入、傷病手当金、医療スタッフへの特別手当等の支給、などに充当される。医療スタッフへの特別手当は、新型コロナウイルスの感染が厳しかった地方の勤務者について1500ユーロ(手取り)、それ以外の地方では500ユーロを支給。残業手当には50%の割増を適用する。その費用総額は13億ユーロに上る見通し。▽低所得世帯向けの援助金の支給(総額で約10億ユーロ)。生活保障手当のRSA及びASSの受給世帯には1世帯当たり150ユーロ(子供1人につき100ユーロを上乗せ)を5月15日に支給する。請求は不要で自動的に支給する。住宅補助手当の受給世帯にも100ユーロを支給する。全体で400万世帯程度が受益する見込み。▽一時帰休向け予算は85億ユーロから240億ユーロへ増額。現在は73万2000社の870万人が一時帰休の対象に。▽失業保険については、管理職について導入された支給額の逓減制の適用が凍結される。支給期間が5月31日までに終了する人について、支給を延長する。