欧州連合(EU)、新型コロナウイルス対策で5400億ユーロのプラン決める

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欧州連合(EU)の財務相理事会は9日夜に開いたテレビ会議で、新型コロナウイルス対策に関する総額5400億ユーロ規模の支援プランで合意した。欧州理事会が23日に承認する予定。
このプランは3つの柱からなる。まず、欧州投資銀行(EIB)を通じて、最大2000億ユーロの企業向け融資が行われる。この実現のため、加盟各国は総額250億ユーロの保証を与える。次に、一時帰休制度の拡大適用により負担が増える諸国向けに、最大で1000億ユーロの支援が行われる。このため、加盟各国がやはり総額250億ユーロの保証を欧州委員会に付与し、欧州委が最大1000億ユーロを起債により調達する。最後に、欧州安定メカニズム(ESM)を通じた予防的与信枠が設定される。総額が2400億ユーロとなり、加盟各国は国内総生産(GDP)の2%を限度として、融資を受けることが可能になる。
支援プランを巡っては、「債務の共同化」を嫌悪するオランダなどの北欧諸国と、新型コロナウイルスで特に強い打撃を受け、債務水準も高いイタリアをはじめとする南欧諸国の間の対立が表面化し、7日の会合では長時間にわたる協議でも結論が出なかった。その後、独仏の協力の下で根回しが展開され、9日には折衷的な内容の妥協案で合意に至った。9日の会合は短時間で終了、出席者らが拍手で合意の成立を祝ったといい、当事者らの顔を潰さずに、欧州の結束を示すことに一応は成功した。
3つの柱のうち、最も紛糾したのが欧州安定メカニズム(ESM)を通じた支援で、「健康及び新型コロナウイルス感染症に関係する予防に関する支出」という支援対象の定義があいまいであり、オランダ政府は、営業禁止に伴う商店の収入欠損への補償などは含まれないと主張、逆に含まれると主張するフランス政府などとの間で見解の違いも見られる。なお、合意にはこのほかに、合同支援基金(5000億ユーロ規模)の設置について協議を継続する旨も盛り込まれた。「コロナ債」型の資金調達方法の是非も含めて、決定が欧州理事会へと持ち越されることになる。