仏ルパリジアン紙は4月8日付で、個人や企業によるマスクの製造が盛んになっている現状を報告している。仏政府は、医療関係者と患者以外は、マスクを着用する意義はないとするこれまでの見解を見直し、一般人のマスク着用を勧告したが、実際にはマスクが不足していることが背景にある。危機的状況の中で「人の役に立ちたい」との思いからマスクの製造に取り組み人が多い。
フェイスブック上のグループ「Les Petits Masques solidaires 53」(メンバー200人)は、仏規格協会(AFNOR)の基準に沿って作成したマスク1000枚をすでに医療関係者、配達人、パン屋、高齢者などに配布した。無料配布の代わりに、針、糸、布などの提供を受けているという。インターネット上ではマスクの作成方法を説明するサイトが急増している。中には掃除機用の紙パックを利用したユニークなマスクもある。
企業レベルでは、製薬、食品加工、原子力部門向けに業務用フィルターなどを供給するリヨンのFiltration社が、医療用マスクの製造に乗り出しており、生産量の増加を目指して、一時帰休措置を導入した縫製工場などの協力を得て1900人の人員を確保した。またパリのオートクチュールのあるデザイナーは消防士やSAMU(緊急医療サービス)向けに週100枚のマスクを作成し、パリの12区にある産院は、オペラ座の衣装を製造する裁縫師30人から手作りマスクの提供を受けている。なおルパリジアン紙もマスクの型紙見本と作成方法を図解入りで紹介した。