2019年12月3日 編集後記

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欧州委員会のユンケル委員長が11月29日に在任中で最期の記者会見を行った。この日は9月に逝去したシラク元仏大統領 の誕生日でもあり、委員長は「わが友」故シラク氏を偲びつつも、ルクセンブルクの首相だった1997年にパリを訪問し た際の逸話を披露した。宿泊したホテルの固定電話の番号(宿泊先を急遽変更したので、自分の側近も知らなかったと いう)がクリントン米大統領にいつの間にか知られていて、大統領から直接に電話がかかってきたことに驚いたうえに、 翌日シラク氏から「君のクリントンへの返答は欧州が米国への返答で手本とすべきだ」と褒められてさらに驚いたとい う。シラク氏はユンケル氏の動きを監視し、電話を盗聴していたのだ。それがすぐバレるような会話を平気でしてしま うあたりがあけっぴろげなシラク氏らしく、なんとなく笑えるのが人徳というべきか…実際にはちょっと怖い話しなの だが、陰湿さは感じない。ユンケル氏は自らの後任人事については、マクロン仏大統領がメルケル独首相とともにフォ ンデアライエン氏を推挙し、欧州議会の選択を無視したことを批判。マクロン大統領がNATOを「脳死状態」と批判した ことや、アルバニアと北マケドニアとの加盟交渉を拒否したことなどにも反対する立場を表明して、持ち味の辛口のコ メントで締めくくった。
ユンケル氏はもうじき65歳。現代の基準ではまだ現役を続けてもおかしくはない年齢だが、見た目はすでにボロボロで、 英国のメディアからはアルコール依存症と揶揄されている。欧州委員会の委員長というのはそれほど激務ということか。 その実績に関する本格的な評価は今後の課題だが、ともかくEUの顔として記憶に残る人であることは確かで、とりあえ ずお疲れ様と言いたい。