2019年12月24日 編集後記

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2019年を振り返って、何が一番大きな出来事だったかを友人に聞いたら、元号が「平成」から「令和」に変わったこと だと言われて意表を突かれた。言われてみれば、たしかに大きな変化だったし、海外のメディアもさかんに報じたのだ から、真っ先に思いついても良さそうなものだが、普段は西暦を参照しており、日本の元号を意識する機会は少ない。 中国に起源がある元号を今も用いる国はほかにないと聞くから、歴史的・文化的な独自性への評価があるのは分かるが、 戦前からの制度をそのまま継承したことの是非や意味合いに関する論議は表面的なレベルにとどまった感が強い。海外 での報道も物珍しさに対する興味の域を出るものではなかった。ある意味で、全てが低調だった年にふさわしいとも言 えようか。
では筆者が考えた2019年の出来事とは何だったのか、というと橋本治の死(1月29日)である。知恵と勇気とユーモアを 兼ね備えた良い本の書き手がまた一人減ってしまった。そういう意味でなら、「平成」は明確な喪失の実感とともにき ちんと締めくくられたのだが、その空虚感を埋めてくれるような新時代の書き手はなかなか登場してくれそうにない。