2020年3月3日 編集後記

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マスクが不足してパニックに陥っているアジア諸国と違って、フランスではマスクをする人は今でもあまり見かけない。 昨夜、メトロで移動したが、同じ車両の中にマスクをした乗客は行きと帰りで1人ずつだけだった。1人いることすら珍 しいのだが、困るのは車内に咳き込む人がたくさんいるのに、そういう人々は誰もマスクをしていないことだ。専門家 は、インフルエンザや新型肺炎の非感染者が感染を防ぐにはマスクは(病院などで用いる特殊な医療用マスクを使用し ない限り)無意味だが、感染者はマスクを着用することで他人への感染リスクを減らせる、と説明している。マスクの 買い占めや買いだめに走る人がいないのは良いことだし(もっともベルサイユなどの観光地では薬局でマスクが売り切 れだそうだ)、それぞれの社会には固有の習慣があるのだから、無理にマスクを着用せよとは言わないが、せめて人の 顔に向けて咳をしない程度のマナーは身につけて欲しいと思う。
その一方で専門家は手洗いの重要性を強調し、握手を控えるよう勧告している。フランスではマクロン大統領が病院を 訪問して医療関係者全員と握手したことが、悪い手本ではないかと批判された。ドイツではメルケル首相が握手しよう と差し出した手を握ることをゼーホーファー内相が拒否して、国民に手本を示し、両相が思わず笑ってしまうという一 幕があった。握手というのは互いの手に付着した細菌やウイルスを交換し合う危険な動作であり、食事の前に握手しあ って、その手でパンをちぎって食べている人をみると胸が悪くなるが、他人と握手した直後に手を洗ったり、アルコー ルで消毒するのはさすがに失礼な気もするので、自分がそういう状況に置かれた場合は病気を覚悟でパンを食べるはめ になる。もしかするとこれが最後の食事かと思うと、味を楽しむどころではなくなる(笑)。コロナウイルスがもたら す文化大革命によって世界から握手の悪習が永遠に廃れてくれるのを期待したい。