通信大手オレンジは26日、新型コロナウイルス対策に絡んで、携帯端末の位置情報を利用した人口移動の分析結果について明らかにした。これによると、外出制限が施行された17日の前後、13日から20日にかけて、パリ及びその周辺の自治体(グランパリ都市圏)から、人口の17%に上る120万人が地方に移動したという。
オレンジは、当局機関の要請を受けて携帯端末の位置情報を分析。携帯事業者は、ユーザーの端末の送受信を可能にする目的で、随時端末の位置を確認している。このデータを匿名化、集合化し、人口5万人単位のエリアごとに端末数を集計、その推移を調べた。この使用方法であれば、個人情報保護の規則には抵触しないという。オレンジのネットワークを利用する人は、1日につき2400万人程度と多く、これをベースにすれば信頼性の高い推計値が得られるという。外出制限に前後して、パリを逃れる人が増えたことは広く指摘されていたが、実際の推計値はこれまで発表されていなかった。セカンドハウスに逃れた人が多いようで、大西洋岸の保養地として知られるレー島(シャラントマリティム県)では人口が30%増を記録。このほか、オルヌ県(ノルマンディ地方)とヨンヌ県(ブルゴーニュ地方)で10%増、イルエビレーヌ県(ブルターニュ地方)では6%増と、増加が目立った。また、パリ首都圏においては、平時よりも観光客数が10万人程度減少したという。
オレンジはこれらのデータを、地方当局や医療機関などと共有。INSERM(国立健康・医学研究所)とは、疫病拡大のモデルにデータを統合することで、感染拡大状況を分析・予測するツールの開発を進めている。