フランスの自動車関連企業団体PFAの戦略委員会は先ごろ緊急会議を2回にわたり開催し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機への対応策を協議した。現在、国内では生産がほぼ停止した状態で、これがまだ数週間にわたり続く見通しだが、PFAでは早くも危機が終息した後に生産と販売を迅速に回復させるための方策を検討している。
PFAによると、欧州全体で自動車関連のほぼ全ての工場が数日間のうちにいっせいに操業を停止したため、中間在庫が限定的であり、部品不足が発生することを回避するために企業間の協調が必要になる。また感染に関する従業員の不安を鎮め、安全を確保することも重要な課題となり、今から大量のマスクを発注している企業もある。現在も操業を継続している工場では感染不安による緊張が高まっているといい、PFAでは、危機後に操業を再開する企業は中国工場での先例を参考にできると判断している。
ただし、自動車産業にとって最大の懸念は需要の低下であり、COVID-19が招く深刻な経済危機の影響で個人も企業も資金難に陥り、自動車の購入を先送りする可能性が強い。ルメール経済相もフランスと欧州で自動車の販売が一気に回復することは期待できないと認めている。こうした情勢でPFAはフランスと欧州の当局が自動車販売支援策を導入する必要があると主張。具体策としては、昨年末に6000ユーロから3000ユーロに削減された企業によるEVの購入補助金を6000ユーロに戻すことや、PHEVの購入に対する補助金の導入、充電インフラの整備に向けた大型投資などを提案している。ただし、補助金を考慮してもEVやPHEVの価格はディーゼル車やガソリン車より20-30%高いため、経済危機の最中で消費者の購入意欲が高まるとは考えにくい。