乳房露出は公然わいせつだが訴追は不当=フィーメン抗議行動の最高裁判決 

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最高裁は26日、ウクライナの女権団体フィーメンが2014年にパリで行った抗議行動について、被告人の活動家に無罪判決を言い渡した。乳房を露出する抗議行動について、欧州人権裁判所の判断が示す相応性の原則を援用し、罪に問えないとする見解を示した。
フィーメンの活動家は、2014年6月に、パリ市内の蝋人形館「ミュゼ・グレバン」内で、ロシア政府を批判するパフォーマンスを行った。自身の胸部に「プーチンを殺せ」と書き、これを露出しつつ、館内のプーチン露大統領を捉えて、尖った器具で切り付けた。この事件で活動家は、器物壊乱と公然わいせつ罪に問われ、一審で有罪判決を受けた。控訴審以降は公然わいせつ罪の適用の妥当性を巡る争いとなり、控訴審は公然わいせつ罪について無罪判決を言い渡した。上告審では一旦、控訴審の判決破棄と差し戻しの決定が下ったが、高裁は差し戻し審で最高裁に従わず、異例の無罪判決を下したことから、検察側が再び上告を行っていた。2度目の上告は大法廷にて行われ、再度の上告は認められない規定になっており、判決はそのまま確定した。
高裁は、差し戻し審において、行為者が示した意図に性的含意がない場合には、乳房を露出したとしても公然わいせつ罪は適用されないとの判断を示した上で、本件の場合は政治的な意見を表明する抗議行動であったと認めて、無罪判決を言い渡していた。最高裁はこの判断には従わず、乳房を露出する行為は公然わいせつ罪の適用を受けるとの判断を示した。最高裁はその上で、公然わいせつ罪に問うことが、表現の自由の行使に不相応な規模の干渉を及ぼすことになる場合、訴追は妥当性を欠くという理由を挙げて、本件について被告人に無罪を言い渡した。最高裁はその根拠として、欧州人権裁判所が判例において示した相応性の原則を援用した。
被告人の弁護士を務めるドゼ氏はこの判決について、現代の状況にあわせて、公然わいせつ罪の適用を明確に制限する判例を最高裁が下さなかったのは残念だと述べて、高裁の示した法解釈を最高裁が追認しなかったことに遺憾の念を表明した。