英国が欧州連合(EU)から離脱

英国は1月31日の23時(現地時間)をもって欧州連合(EU)から離脱する。これに伴い、EUの総人口は13%に当たる6600万人を失って4億4600万人となり、面積は5%縮小し、GDPは15%減少することになる。2020年12月31日までの移行期間が設けられているため、多くの面で実際には2月1日にいきなり大きな変化が訪れるわけではないが、英国は欧州理事会、欧州議会および欧州委員会などEUの機関からは撤退し、EUレベルの意思決定には参加できなくなる。EU諸機関で働く既存の英国人職員は残留するが、英国人が新たにEU職員として採用されることはない。
英国は2020年までのEU多年次予算枠組みで決定済みの予算拠出を継続し、英国人EU職員の年金拠出金も負担する。移行期間中はEU単一市場へのアクセスを維持し、EUの農業補助金や結束補助金の交付を受け続ける。移行期間が終了した暁には、欧州中央銀行(ECB)にイングランド銀行(英中銀)が持ち寄った資本が返還される。これらを差し引きした「離脱請求書」の金額は、離脱協定では明記されていないが、英国政府は350億-390億ポンド(410億-460億ユーロ)の支出を見積もっている。
英国に居住するEU加盟国国民とEU加盟国に居住する英国人の権利は従来どおり保護されるので、基本的には変わらない。ただし英国に居住するEU加盟国国民の場合、新たに居住登録の手続きが必要になり、滞在歴が5年以上であれば永住権を「定住資格(Settled Status)」に転換し、5年未満なら「仮定住資格(Pre-settled Status)」を取得する必要がある。この手続が複雑で時間もかかるため、EU出身者の間では不安も強いという。
また英国の大学はEUから多数の留学生を受け入れているが、学業の継続に支障がないように新たな居住者資格の付与などの対応策がとられる。ただし2021年から学費は第三国出身者並に引き上げられる可能性が強い。EUの交換留学生制度「エラスムス+」には英国は離脱後も加盟し続ける可能性もある。
なお、イングランド銀行は30日の金融政策委員会で、政策金利の据え置きを決めた。一部では景気下支えのための利下げを予測する向きもあったが、イングランド銀行は12月の総選挙で与党が圧勝し、短期的な不確実性が低下し、企業の信頼感が改善したことなどを理由に、0.75%に維持した。しかしその一方でイングランド銀行は、向こう3年間の英国のGDP成長率の見通しを下方修正した。2020年については1.2%から0.8%へ、2021年についても1.7%から1.4%へと大幅に引き下げた(2022年については1.7%)。政府は離脱で貿易を中心とする経済活動に弾みがつき2.8%の成長が期待できるなどと喧伝しているだけに、イングランド銀行の見通し修正は政府の主張に冷水を浴びせる結果になった。