アウシュビッツ強制収容所解放75周年で政治論争も再燃

アウシュビッツ強制収容所(ポーランド南部)の旧ソ連軍による解放の75周年を記念して、1月27日に収容所跡地で追悼式典が開催された。式典を主催したアウシュビッツ・ビルケナウ博物館は生存者を式典の中心に据えることに配慮したが、政治的な論争を完全に回避することはできなかった。ロシアのプーチン大統領は昨年12月以来、ポーランドの反ユダヤ主義を挙げ、第二次世界大戦勃発前にポーランドがナチスと協力していたとして繰り返し批判しており、ポーランドのドゥダ大統領は追悼式典での演説で、これに間接的に反論した。
ドゥダ大統領はアウシュビッツ強制収容所の130万人の犠牲者の多くがユダヤ人だったことを認めつつも、ポーランド人、ロマ人、ソ連軍の戦争捕虜なども犠牲になったことを指摘した。ちなみに、ポーランドでは共産主義体制下での教育により、アウシュビッツ強制収容所の犠牲者の多くは「非ユダヤ系」ポーランド人だったと信じ続けている国民が今も多い。大統領はまた、戦時中のポーランド人による抵抗運動や、ユダヤ人の救済などにも言及した。
またドゥダ大統領とイスラエルのリブリン大統領との間でも批判の応酬があった。1月23日にはエルサレムで世界ホロコーストフォーラムが開催されたが、ドゥダ大統領はその際にナチスドイツによる占領に対する戦いにポーランド人も参加したことが完全に無視されたと批判。これに対して、リブリン大統領は、ポーランド人がナチスドイツと勇敢に戦ったことを認めたうえで、多くのポーランド人がユダヤ人虐殺を静観したり、手助けたことも忘れられないと反駁した。
なお、アムステルダムでも26日、アウシュビッツ強制収容所解放75周年式典が行われ、ルッテ首相はオランダ政府を代表して、ナチスドイツの言いなりだった大戦中のオランダ当局の行動について生存者に謝罪した。ルッテ首相は2009年には(ホロコーストの存在を否定する)否認主義の不処罰化を提案し、2012年にも、公式の謝罪を行うには「情報が不足」しており国民の支持を得られない、と発言するなど、これまでは歴史修正主義的な立ち位置を見せてきただけに、今回の謝罪表明は注目されている。