欧州議会、フランス代表欧州委委員候補の承認を拒否

欧州議会は10日、フランス政府が推薦した次期欧州委員会の委員候補であるシルビー・グラール氏を承認しないことを決めた。反対82、賛成29、棄権1で承認を拒否した。
欧州委員会の委員は加盟各国が1名ずつ推薦し、欧州議会の承認を得て就任することになっている。今回の各委員の承認手続きにおいて、欧州議会は既に、ハンガリーとルーマニアの候補を利益相反を理由として退けており、グラール候補については、同日に2度目の聴聞を行った上で、承認拒否を決めた。グラール候補は、所属政党MODEMの架空雇用疑惑で追及を受ける可能性があることと、米国のシンクタンクからコンサルタントとして報酬を得ていたことが問題視された。
欧州議会の決定は、人事を決めたマクロン仏大統領にとって政治的な痛手となった。大統領はこの決定について、「恨みか、器の小ささ」によるものではないか、と述べて議員らの対応を批判。その上で、重要なのはフランス出身の委員に付与される権限(域内市場から防衛産業に及ぶ幅広い権限が付与される)だと述べて、早期に代わりの候補を提案する考えを示唆した。
マクロン大統領は、欧州委委員長の人選に係り、保守派の欧州人民党(EEP)が推していたウェーバー氏の選出を妨害したという経緯がある。10日の投票では欧州人民党は承認に反対票を投じており、大統領サイドはこれを報復として捉えている。ただ、投票で賛成票を投じたのは結局、お膝元の中道勢力のみであり、それ以外のすべての勢力は反対に回った。欧州議会が自己主張を強めていることをうかがわせる結果となり、欧州連合(EU)のかじ取りは一段と難しくなったようにも見える。フランス出身の委員も含めて、承認を拒否された3人の委員の代わりを決める必要があるが、折しもルーマニアでは内閣不信任案が可決されたばかりで、人選に手間取る可能性も生じている。次期欧州委の発足の延期もささやかれている。