英国のEU離脱:合意の可能性、遠のく

英国の欧州連合(EU)離脱に関する合意をめぐる交渉が行き詰まりの様相を強めている。10月31日の離脱予定日と10月17-18日のEU首脳会議を控えて、英国とEUは10月第2週末までに合意形成を目指しているが、8日までのEU側の反応は極めて悲観的だった。
ジョンソン英首相が提示した新提案に対してEU側は複数の疑問点を指摘し、改善を求めている。英国側は7日に疑問点の解明に努めたが、EU側は「何も変わっていない」と受け止めている。ジョンソン首相は8日、アイルランドのバラッカー首相と電話で協議し、ロンドンの首相府で近日中に会談することを約束したが、バラッカー首相はメディアの質問に「今週中に合意するのは非常に難しい」と答えた。欧州議会のサッソリ議長も8日、ジョンソン首相と会談したが、「何の進展もない」とコメント。
やはり8日に電話でジョンソン首相と協議したメルケル独首相は、英国が北アイルランドをEUとの関税同盟に残す方向で新たな提案を行わない限り、合意の実現は「極めてありそうにない」と伝えたという。ジョンソン首相の提案では北アイルランドはEUとの関税同盟から離脱することが予定されている。
ジョンソン首相の真意は、EU側が受け入れられない提案をあえて提示して交渉を頓挫させ、「合意なき離脱」の責任はEU側にあると主張することだとの見方があり、EU側の不信感は強い。
欧州理事会のトゥスク議長はツイートで、ジョンソン首相が交渉決裂の場合の「責任を転嫁できる相手を見つけようと愚劣な批判ゲーム」を展開し、「EUと英国の将来を弄んでいる」と批判した。欧州委員会のユンケル委員長も9日付の仏日刊紙レゼコーなどに対して、「交渉失敗の責任をEUに押し付けようとする批判ゲームには応じない」とし、交渉が決裂するとしたら責任は英国の側に理由があると指摘。委員長は「原罪は大陸側ではなく島国の側にある」としたうえで、合意が不成立に終われば誰も勝者になれないと強調した。