ロシア大統領の発言、フランス側による検閲はなし

マクロン仏大統領が8月19日ロシアのプーチン大統領を迎えて会談した機会に、共同記者会見でのプーチン大統領の発言の一部が仏メディアの報道で削除されていた可能性がネットユーザーから指摘され、仏当局や仏メディアによる検閲ではないかとの批判が寄せられていた。この問題について8月21日付けの仏リベラシオン紙は事実関係を検証した上で、プーチン大統領の発言が部分的に削除されて報じられたことは事実だが、これはフランス側の検閲によるものではなかったと結論している。
プーチン大統領は、ロシアでの反政府勢力のデモを厳しく取り締まった件について記者団から質問され、「フランスの大統領に招かれたゲストとしては言いにくいのだが」と前置きした上で、フランスでの「黄色蛍光ベスト」のデモが招いた被害の大きさを引き合いに出し、こうした事態がモスクワでも発生することは望まないと説明した。大統領の発言はロシア語でなされ、BFM TVやFrance24などフランスのニュース専門テレビ局の放送では、「黄色蛍光ベスト」の抗議行動の被害状況に関する部分を女性の通訳者(音声のみ)が「数十人の負傷者があり、負傷した警察官もいた」と訳した。ところが、ロシア系のテレビ局Russia Today Franceの放送では別の通訳者(男性)が同じ発言を「我々の計算によると、11人の死者、2000人以上の負傷者があり、特に警察官が負傷した」と訳した。死者があったことに言及したうえに、被害者数について具体的に数値をあげた。
双方の報道を比較して、フランスに不都合な部分が仏メディアの報道で削除されたのではないかとの疑いが提起されたわけだが、リベラシオンがロシア語話者に大統領の発言を聞かせて確認したところでは、問題の部分は「我々の見積もりによると、11人が死亡し、2000人の警察官を含む2500人が負傷した」という内容だったという。これは仏AFP通信が20日に報じた内容にも合致している。
19日の仏テレビ局の報道で、女性通訳者が大統領の発言を部分的に削除して伝えたことになるが、リベラシオンの調査によると、この通訳者を用意したのはロシア当局であり、フランス側による検閲という批判は当たらないという。なお、大統領が言及した死者数と負傷者数については、仏政府が過去に公表した数字と大差はなく、フランスにとって特別に不都合な情報というわけでもない模様。