フランスもマイナス金利、国の財政や家計等への影響は

フランスの10年物長期金利は去る6月からマイナス金利に入った。8月19日現在ではマイナス0.35%で推移している。政府は年末時点の長期金利を1.25%と予測していたが、予想を超える勢いで金利の低下が進んだことにより、2019年通年では、4億ユーロ相当の節減が可能になったと見られている。この節減額は、長期金利が現在の水準に留まるならば、2020年には40億ユーロに達する。
家計への影響は、一方では借入が有利になり、他方では貯蓄の利息収入が減るという不利益があり、全体的な影響を把握するのは難しい。住宅ローンの新規与信時平均金利は、7月の時点で1.39%と、過去最低の水準まで下がっている。2013年以来の金利低下により、融資に由来する家計の購買力は1300億ユーロ相当増強されたとの試算もある。フランスでは、家計債務の対可処分所得比は95%(2018年末時点)に上っており、これはドイツ(83%)やイタリア(61%)など近隣諸国よりも高い。企業の債務の対GDP比も72.6%と、日本を除いて世界でも最も高い水準にある。金利が上昇局面を迎えた場合に、脆弱な状況が露呈する懸念がある。また、不動産バブルの形成の懸念もあり、当局機関は慎重に監視する方針を明らかにしている。低金利は金融機関にとっては打撃となり、利益が圧迫されて体力がない銀行から信用収縮が始まり、将来的に実体経済に影響が出る恐れもある。