パリ周辺で飲料水の放射性汚染を警告するメッセージが広がる

パリ周辺において7月19日、「イルドフランス地域圏庁が、飲料水が放射性物質により汚染されているという理由から、水道水の摂取を制限する通達を出した」とのメッセージがSNSを通じて広まる事態が発生した。病院などに質問の電話が殺到し、イルドフランス地方圏庁、パリ公立病院連合(AP-HP)などは飲料水に問題はないと発表、事態の沈静化を図っている。
この呼びかけの元となったとみられるのが、仏反原子力発電団体のACROが7月17日に行った発表で、フランスにおいて640万人が消費する飲料水がトリチウムに「汚染されている」という内容。ACROは、仏保健省の2016-17年にかけてのデータに基づき、オルレアン、ブロワ、トゥール、アンジェ、ナントといったロワール川沿いの大都市やイルドフランス地方の122自治体を含め268の自治体で「汚染」が見られたと発表した。トリチウム濃度の平均は1リットルあたり9ベクレル。最大で31ベクレルだった(ビエンヌ川沿いのシャテルローにおいて)。ただしACROは、トリチウムの濃度が公衆衛生法典の定める1リットルあたり100ベクレル(この値を超えると、放射性を特定するための調査が行われる)を超えず、更にWHO(世界保健機関)の定める毎日飲み続ける飲料水の水質ガイドラインの指標である1リットルあたり1万ベクレルを下回っていると説明。発表は議論を呼び起こすために行ったと主張している。ACROは6月にもロワール川におけるトリチウム汚染を指摘する発表を行っていた。
これに対し、パリの病院の看護師と名乗る女性による「地域圏庁が、病院の従業員に対して『チタニウム』に汚染された飲料水の摂取を避ける指令を出した」との音声メッセージが流され、WhatsApp、メッセンジャーやツイッターといったSNS上で広まって、一時パニックを引き起こした。