ドリュジー環境相が辞任、疑惑報道で

ドリュジー環境相が16日に辞任した。環境相を巡っては、下院議長時代に公費で催した「豪華晩餐会」問題が1週間前に報じられたのを皮切りに、一連の疑惑報道がニュース専門サイトのメディアパルトによりなされていた。環境相はやましいところはないと主張、辞任を拒否していたが、16日にはメディアパルトが新たに、議員経費を党会費に流用していた問題を報道。環境相はこれに前後して、メディアパルトを名誉棄損で訴えるため、職務を適切に遂行することができる状況ではなくなったとして、辞任することを決めたと発表した。政府は16日夜に、環境相の後任としてボルヌ運輸相が環境相の職務を兼務すると発表。引継ぎは17日に行われる。
メディアパルトの新たな報道によると、ドリュジー氏は2013年と2014年の両年、下院議員として得た議員経費の一部を当時の所属政党EELVの党員会費として支払っており、この分を所得税から控除していた。こうした慣行は2015年に法律により正式に禁止されている。メディアパルトが報じた一連の問題は、「豪華晩餐会」にせよこの件にせよ、いずれも、法律や規則に抵触しているとまでは言えない微妙な案件だが、ドリュジー氏は下院議長として、国民の血税を預かる者として襟を正すよう議員らに求めていたという事情もあって、バッシングは与党内からも強く、閣僚の中にも明確に距離を置く者がいるほどだった。マクロン大統領は16日の時点で、密告に基づいて糾弾する行為は慎むべきだと言明し、ドリュジー氏を一応は支持していたが、政権のイメージ低下が広がるのを食い止めるのが不可避の課題となっていた。最重要の政策課題と位置付ける環境問題を担当する大臣として、ドリュジー氏が在任を続けるのは困難な流れだった。辞任の発表後に、ヌディアイ政府報道官は、個人的な理由による辞任と位置づけ、政府としてドリュジー氏の決定を尊重すると共に支持するとコメントした。
ドリュジー氏は45才、環境派のEELVの出身で、2007年に下院議員に初当選、2012年にも再選を果たした。2012年に発足した社会党のオランド政権にEELVは入閣したが、ドリュジー氏は社会党との協力路線を明確に打ち出し、EELV内の左寄りの勢力の発言権が強まっていることを批判して2015年に党を離れて独立。オランド政権との協力派のグループの中心人物となった。2017年の大統領選に向けた社会党の後任候補選びの予備選にも立候補したが落選、一旦は後任候補となったアモン氏を支持すると表明したが、後にマクロン候補の支持に転じて社会党とは一線を画した。マクロン政権発足後には下院議長職に抜擢され、ユロ環境相が政策の齟齬を理由に昨年夏に辞任したのを受けて、今度は後任の環境相に就任、内閣ナンバー2の地位にまで上りつめた。しかし、勝ち馬を選ぶ軌道修正を繰り返すたびに敵も増え、今回の辞任でいわば一人になった格好となった。ドリュジー氏は規定により、下院議員職に復帰することができる。
ボルヌ運輸相が環境相を兼務する旨の決定は、辞任発表から24時間たたないうちに下された。マクロン政権の閣僚辞任に対するこれまでの対応に比べると、異例に早い決定となった。ボルヌ氏は理工科学校(ポリテクニーク)などの出身、ジョスパン左派政権などで官房スタッフなどを経験、国鉄SNCFなど運輸部門の企業に勤務し、RATP(パリ交通公団)のCEOを務めた。