植物状態のランベールさん、最高裁が延命治療打ち切りを認める判決

最高裁は28日、植物状態にあるバンサン・ランベールさん(42)の延命治療の打ち切りを差し止めたパリ高裁の判決を破棄する決定を下した。これで仏国内における控訴の可能性はすべて閉ざされた。
ランベールさんは2008年に事故のため植物状態に陥った。回復の見込みがなく、ランベールさんの夫人は、栄養分・水分補給の人工的な延命措置の打ち切りを希望したが、ランベールさんの両親は、カトリック原理主義の信仰上の理由をタテに、「生きる権利」を侵害するものだと主張してこれに反対、長年にわたる法廷闘争が続いていた。病院と国を相手取った行政訴訟は上告審まで争われ、両親側の敗訴となっており、欧州人権裁判所なども訴えを棄却していた。両親側は、国連の障害者権利委員会に対して、ランベールさんを障害者と位置づけ、延命治療の打ち切りは障害者の権利の侵害に当たると主張して審査を請求、同委員会は審査が終わるまで延命治療の打ち切りを延期するよう仏政府に対して求めており、両親側はこれを理由として治療打ち切りを延期するよう求める請求を司法裁判所に対して起こしていた。第1審はこれを棄却、控訴審となったパリ高裁は逆転して両親側の訴えを認めており、国などが判決を不服として上告していた。
最高裁は大法廷を招集してこの件を審理。パリ高裁の判決を破棄し、大法廷の権限により、差し戻しをせずに判決を確定した。パリ高裁は、行政機関による個人の自由への侵害があったとみなし、「行政当局による暴力行為(voie de fait)」という概念を援用して、行政裁判所だけでなく司法裁判所にも管轄権があるとの判断を下し、延命治療打ち切りの決定を差し止めていた。最高裁はこれについて、「暴力行為」の概念が適用される「個人の自由」とは、自由の侵害(勾留、強制入院等)の場合に限られるとの判例を示し、本件はそもそも司法裁判所の管轄ではなく、行政裁判所の管轄であると認定。内容の審理には立ち入らずに訴えを却下した。
両親側はまだ諦めておらず、母親は7月1日に国連人権委員会の聴聞に出席して問題を訴えることになっている。両親側の弁護団は、ランベールさんが死亡したら担当医師と国を殺人で訴えるなどと予告。国に対して延命治療打ち切りを延期するよう最大限の圧力を行使する構え。