欧州議会選の勝者と敗者

欧州議会選挙における敗者といえば、やはり保守野党の共和党だろう。同党はボキエ党首の下で保守色を強く打ち出し、やはり保守色の強い若い知識人のベラミ氏を筆頭候補に立てて支持回復を狙ったが、結果は得票率がわずか8%と惨敗に終わった。この結果は、保守色を強めて右派の再結集を図ったボキエ党首の戦略が完全に失敗したことを示している。極右RNの有権者層は切り崩せず、逆に中道寄りの有権者は党を離れてマクロン大統領の支持に回るという構図となり、賭けは完全に裏目に出た。共和党内ではボキエ党首に退陣を求める声が高まっており、ボキエ党首は急遽、27日に執行部の会合などを開いて、抜本的な見直しを約束。今秋に開く全体会議に向けて、党内の声を聞いて方針の見直しを進めると約束した。それでも、党内からは、このままでは党は消滅の危機にあると見て、人事の刷新を含めた再生の努力が不可避だとする声が上がっている。そうした中で、共和党所属のラルシェ上院議長は、保守・中道勢力を糾合するための独自のイニシアチブに着手。ボキエ党首外しの動きは今後に本格化する可能性もある。
逆に選挙における最大の勝者は環境派だろう。環境派の躍進は欧州諸国に共通の動きだが、フランスの筆頭候補であるヤニック・ジャド欧州議員にとっては、ここで負けたら進退が問われかねない崖っぷちの勝利だった。ジャド氏は51才、市民社会の出身で、グリーンピースの幹部などを歴任した。2009年以来欧州議員を2期に渡り務め、今回が3期目となる。2017年の大統領選挙では、環境派政党EELVの大統領候補として指名を受けながら、社会党との提携を選択し、アモン候補(当時)を支持して立候補を辞退した。アモン候補の惨敗により、この選択はまったく無意味な結果となった。ジャド氏は今回の欧州議会選挙では、社会党のロワイヤル元環境相の共闘の申し出を断って、左派結集の道を捨てて独自の道を選んだ。その選択が、今度は環境問題を真っ向から訴える姿勢と受け取られ、支持を呼び込むことに成功した。この余勢を駆って、今度は左派勢力の盟主として地位を高めたいところだが、これまでのいきさつが邪魔になりそうした展開は容易ではなく、選挙の勝利をどう生かせるのかはこれからの課題となる。