ENA(国立行政学院)廃止論を巡る議論

マクロン大統領が4月15日に発表する予定だった一連の施策には、ENA(国立行政学院)の廃止が盛り込まれていたと報じられている。正式な発表はなされていないが、賛成派と擁護派の間で早くも綱引きが展開されている。
ENAは終戦直後の1945年にドゴール将軍が設立した。国の指導層を輩出する教育機関として発足、厳しい入学試験が行われ、卒業生には成績に応じて中央官庁等への配属が約束される。大統領や首相、閣僚等にはENA出身者が多く、マクロン大統領自身もENAを卒業後、財務省監察総局に入省というエリートコースを歩んだ。ENAについては、同じようなタイプのエリートを再生産するばかりであり、また、エリート層が自らの間だけで重大な決定を下し、なれ合いの関係が構築される温床になるとする批判の声が以前からある。マクロン大統領はこれを踏まえて、「黄色蛍光ベスト」の抗議行動により表明された国民の不満に答える象徴的な施策として、ENAの廃止を提案する考えだったと見られる。
ENA廃止の具体的な内容は明らかになっていないが、他の官僚養成校や、一部のエンジニア養成校などを統合した養成機関に置き換えると共に、卒業後ただちに中央官庁への配属がなされる現行制度を改め、実地で実務経験を積んだ後に、その実績に応じてその後の配属先を決める形にすることが検討されているという。これには、一般の国民から乖離したエリート層が形成されるのを避ける狙いがある。また、入学者の選抜については、アファーマティブアクション型の採用枠を広げるなどの改正が施されるという。
ENAの側では、現状で奨学生が生徒に占める割合が26%と高いことなどを挙げて努力がなされていることを強調しつつ、ENA解体により国の問題が解決すると主張するのは大衆扇動的であると反論している。