フランス人、大多数が通勤に自動車を利用

昨年11月からフランスを席巻している「黄色蛍光ベスト」の抗議運動は自動車燃料の増税や一般道における速度制限(時速80km)などに対する反発が起爆剤となった。これを機にフランス人の日常生活における自動車に対する依存度の高さが再認識されたが、4月16日付けの仏経済紙レゼコーによると、日々の通勤に自動車を用いる人の割合は全国平均では4分の3に達していることが各種の調査で確認されている。その半数程度はほかに交通手段がないためやむを得ずに自動車を利用しているという。特に居住地と勤務地が同じコミューン(市町村)内にない場合には大多数が通勤に自動車を用いている。ただし、公共交通機関が発達し、道路の渋滞も激しいパリ首都圏のみは例外で、通勤での自動車の利用は5割未満となっている。
これに対して地方では、雇用と公共交通機関の空白地帯が拡大しているため、自動車が通勤の必須手段になっているといい、ドライバー団体のACAでは、「毎日自動車を利用することができなければ、1時間以内の通勤圏での雇用数は半減する」と警告している。パリ市内では通勤に公共交通機関を用いる人が7割近いにの対して、カンタル県、ジェール県、クルーズ県などでは2%に過ぎないという。
仏自動車工業会(CCFA)によると、自動車を保有している世帯の割合は全国平均で84%だが、農村部や都市周辺部では93%に達している。社会階層別では、ワーカーの91%が自動車を保有しているのに対して、都市部で働いていることが多い自由業や管理職では81%にとどまっており、所得水準よりも通勤の便が保有率を左右している。ただし、年金生活者の世帯でも81%が自動車を保有しており、自動車への依存は通勤事情のみが理由ではない。
自動車の保有が家計支出に占める割合は2000年代以後に低下が続き2015年に8.8%となったが、その後はまた上昇し、現在は9.2%に達している(INSEE調べ)。近年は燃料価格が上昇したうえに、保守や保険などの費用も上昇し、自動車の維持費は増大する傾向にある。そのためもあって買い替えまでの期間が長期化しており、平均車齢は2015年の7.7年から現在は9.1年に伸びているという。ただし、これは自動車の耐久性が向上したことも一因。
国内の自動車保有総数は3500万台で、その58.3%がディーゼル車だが、新車市場ではディーゼル車の人気は顕著に低下しており、シェアは過去最低の35%にまで落ち込んだ。中古車市場でのシェアは62%に上っており、これは保有者がディーゼル車を手放す傾向が強まったためだという。