パリ・ノートルダム寺院火災:マクロン大統領、5年以内の再建を宣言

マクロン大統領は4月16日夜に国民向けのテレビ演説を通じて、火災の被害を受けたノートルダム寺院を5年以内に再建すると宣言した。2024年のパリ五輪を念頭に置いて、早期に修復を終える意欲を示した。大統領は国民に対して一致団結を促した。
再建に向けた資金協力の申し出は相次いでおり、資産家のピノー一族は1億ユーロ、アルノー一族は2億ユーロ、ベタンクール一族は2億ユーロ、石油大手トタルは1億ユーロの拠出を約束。内外の発表を含めて、既に8億ユーロ程度の拠出が約束されている。パリ市は5000万ユーロの拠出を予告。イルドフランス地域圏(パリ首都圏)も緊急に1000万ユーロの支出を決めた。一般対象の募金活動も、私的なイニシアチブを含めて多数が始まっており、公益団体Fondation du patrimoine(www.fondation-patrimoine.org)では既に1300万ユーロが集まったという。再建には数億ユーロが必要とされているが、かなり潤沢な資金が集まることが期待できる。
政府は17日に開く閣議で再建に関する問題を検討するが、再建の募金に係る税制優遇措置の拡大を求める声も上がっている。ただ、これには批判的な声もあり、現状でも66%までの控除が可能(法人の場合は60%)であり、資産家の募金のかなりの部分は、結局は国(ひいては納税者)が負担することになるとする意見も聞かれる。
マクロン大統領が示した5年間という日程については、短すぎるとする見方が専門家からも上がっている。焼失した屋根と尖塔が再建されることになるが、木材を用いた屋根組みをそのまま修復するよりは、新建材を用いた修復とする方が合理的だとする意見もある。
ノートルダム寺院の建物は、1905年の政教分離法以来、国が所有者であり、保険の有無は公表されていないが、付保はなされていないとする見方が有力となっている。ただ、火災の原因が過失によるものであると判明した場合には、過失を犯した者の保険者が負担を迫られることになる。出火当時に尖塔の修復作業に当たっていた民間2社の保険は大手のアクサが引き受けていた。事故原因の究明は捜査当局が開始しているが、責任の所在を明確にするのは困難と見られている。また、アクサの子会社アクサ・アートは、大聖堂内の美術品等の物品の保険を引き受けている。