映画監督のアニエス・ヴァルダさん死去

女流映画監督のアニエス・ヴァルダ氏が3月29日未明に死去した。90才だった。
ヴァルダ氏は1928年にベルギーで生まれる。第2次大戦中に家族と共に南仏セート市に逃れた。戦後に写真家として、ジャン・ビラールが創設したアビニョン演劇フェスティバル(1947年)に創設当初から参加。ビラールに従って演劇関連の撮影を数多く手がけた。写真家としての目を生かして映画にも進出。1955年の初監督作品「La Pointe courte」は、第2の故郷であるセートを舞台にした斬新な作品で、ヌーベルバーグの先駆となった。ドキュメンタリーを思わせる客観的な描写で主観的な世界を描き出すその手法は、「5時から7時までのクレオ」(1961年)で結実し、その後、女優サンドリーヌ・ボネールの出世作となった「冬の旅(Sans toit ni loi)」(1985年)はベネチア映画祭で金獅子賞を受賞した。
私生活では、ヌーベルバーグの巨匠の一人であるジャック・ドゥミの伴侶で、ドゥミの少年時代の思い出を映像化した「ジャック・ドゥミの少年期(Jacquot de Nantes)」(1991年)も残している。生涯をフェミニストとして貫いたことでも知られ、最近では映画界の男女の賃金格差を糾弾するアピールにも参加した。