マクロン大統領、「欧州の再生」プランを公表

マクロン大統領は3月5日付で、欧州連合(EU)加盟28ヵ国の日刊紙に、「欧州の再生のために」と題する文章を寄稿した。5月の欧州議会選挙を意識して、持論である欧州建設の構想を欧州市民に対して訴えかけた。
大統領の文章は、フランスでは日刊紙パリジャンに掲載された。大統領はこの中で、自由、保護、進歩という3つを欧州の理念であり、目的であるとし、それに沿って具体的に10数項目の提案を披露した。「自由」については、欧州の政党が外国の資金を財源とすることを禁止することを提案。インターネットからのヘイトスピーチ等の排除に積極的に取り組む姿勢も確認した。「市民を保護する欧州」の点では、シェンゲン協定の見直しを通じて、域外国境の防衛や移民の受け入れにおける協力、難民認定の規則の尊重などを担当する機関の設置を提案。また、欧州の理念や利益(環境基準、データ保護、納税など)に合致しない企業への制裁強化や排除を提案。公共調達市場や戦略的産業における欧州企業優先の原則の制定なども提案した。「進歩」については、欧州全域での法定最低賃金制度の導入(毎年改定)、欧州気候基金による資金供給を柱とするエコロジー移行支援、食品安全性の強化、化学物質等の独立機関による評価、などを提案した。大統領は、2050年までのカーボンニュートラル達成と殺虫剤の半減などの目標を掲げ、デジタル経済の大手企業への規制強化や、イノベーションへの資金拡大などに意欲を示した。
マクロン大統領は、欧州で台頭するナショナリズムやポピュリズムの勢力に徹底的に対抗する姿勢をこれまで示してきた。自由の守り手をアピールする戦略だったが、このところは、イタリアのサルビーニ内相(極右「同盟」のリーダー)とのメディアを挟んでの舌戦などが示すように、相手と同じ土俵まで下がってしまってかえってイメージ戦略上ではマイナスの結果を招いていた。大統領は今回の文章の中ではそうした対決姿勢は弱めて、欧州の将来を憂える政治家というイメージを醸成することに努めた。