ベナラ事件:上院調査委は大統領府の責任を追及

大統領府の元職員アレクサンドル・ベナラ容疑者が19日夜、拘置所に収監された。同容疑者は、去る5月1日のメーデーのデモの際に、警官隊に加わってデモ参加者に暴力を振るった疑いで捜査対象となり、この件はマクロン大統領の権威を揺るがす事件に発展した。一連の捜査に絡んだ保釈決定において、ベナラ容疑者は、事件時に行動を共にしていたクラーズ容疑者と接触を持たないよう裁判所から命じられていたが、最近の報道で、両容疑者の懇談の模様を録音したテープが公表され、両容疑者が命令を遵守していなかったことが明らかになっていた。裁判所は保釈決定を取り消し、両容疑者を収監した。
これに続いて、検察当局は20日、ベナラ容疑者らを対象とした「事実隠蔽」容疑の予備捜査を開始したと発表。ベナラ容疑者を巡っては、大統領府を解雇された後も、外交官旅券の所持を続けていたことなどが明らかになっており、こうした事実の隠蔽に当たって容疑者のほかに大統領府も協力していた疑いが取り沙汰されている。捜査の具体的な内容は公表されていないが、当局が追及の矛先を大統領府等に向ける可能性もある。
これと関係して、上院の特別調査委員会は20日、調査報告書を公表。報告書は、大統領府が事件への対応を怠り、外交官旅券の所持継続をはじめとする不祥事を招いたと厳しく責任を追及。大統領府のコレール長官、大統領官房のストルゾダ官房長、大統領警護責任者のラベルニュ氏の3人を名指しし、上院の聴聞における宣誓供述の内容に齟齬があると問題視した。グリボー政府報道官は報告書の公表を受けて、報告書の内容には事実誤認があり、大統領府は今後、誤りを正してゆくことだろう、と述べて反論。国会調査委が大統領府の組織について口を出すのは三権分立の原則に反するのではないか、とも述べて、事件を政治的に利用しているとする批判の念をにじませた。