仏経済省、ディーゼル車支援を計画

ルモンド紙やレゼコー紙などの報道によると、仏経済省はディーゼルエンジン車の支援を目的に、車両の汚染度分類制度の手直しを提案し、これに反対する環境省との間で綱引きが起きている。パリ市をはじめとして一部の都市ではディーゼル車の通行禁止措置の導入を進めているが、経済省が提案する制度改正が実現すると、最新型のディーゼル車は禁止を免れる。
独フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル車排ガス不正事件が発覚した翌年の2016年に、フランスでは「クリテール(Crit’Air)」と呼ばれる車両分類ステッカー制度が導入され、複数の都市や区域で、これに基づいて汚染度の高い車両の乗り入れが段階的に禁止される見通しになっている。「クリテール(Crit’Air)」は自動車の排ガスを汚染度の小さいものから順にゼロから6までの7段階で評価し、これを色分けしたステッカーで表示するもので、レベル0(Crit’Air0)にはEVや水素自動車のようなゼロエミッション車、レベル1(Crit’Air1)にはハイブリッド車や欧州排ガス基準「EURO5」と「EURO6」に対応するガソリン車などが分類されている。ディーゼル車は「EURO5」と「EURO6」に対応する汚染度の低い車種でもレベル2(Crit’Air2)にしか分類されていないが、経済省は「EURO6」に対応する最新型のディーゼル車(2015年9月以後に登録)をCrit’Air1に格上げすることを計画し、1月28日の政府会合で提案した。環境省が抵抗しているため当面は現状維持が続くが、経済省が新たな攻勢をかける可能性があるとみられている。
ディーゼルゲートで、毒性の強いNOxの実際の排出量が規制による制限値を大幅に超えていたことが判明し、イメージの悪化や都市部での通行制限などを背景に、仏新車市場でのディーゼル車のシェアは2012年の70%超から半減して34%に落ち込んだ(1月)。これに伴い、ディーゼルエンジン部品のメーカーなどが経営危機に陥り、倒産や工場の閉鎖などが相次いでいる。ディーゼル車部門の直接雇用は3万8000人と推定され、経済省は同部門の救済を目的にディーゼル車の復権を企てている。自動車業界も尿素SCRシステムを搭載した最新型のディーゼル車は汚染度が格段に低く、また欧州で2018年9月に導入された排ガス新基準によって排ガス試験の信頼性も保証されていると強調している。
これについて、環境NGOなどは、最新モデルであってもディーゼル車のNOx排出量は制限値を大きく超えており、がんなどの疾病の原因となっていると指摘。早急にディーゼル車を追放する必要があるとして、制度の改正に反対する声もあがっている。