ベナラ事件:外交官旅券の不正使用疑惑が浮上

ベナラ事件が新展開を迎えている。パリ地検は12月29日の時点で、アレクサンドル・ベナラ氏を対象にした背任等の疑いでの予備調査を開始。ベナラ氏と大統領府の間で報道機関を通じた舌戦が展開されている。
ベナラ氏は大統領府の元職員で、メーデーのデモ時に治安部隊に加わって「活動」していたことが発覚、この事件では去る7月以降、数件に渡る予審(担当予審判事が起訴の是非を決めるために行う裁判上の手続き)が開始されており、大統領府職員の職も解雇されている。ベナラ氏はその後、アフリカを中心とした諸外国との関係を取り持つ「コンサルタント」に転身し、外国を盛んに訪問していたが、その際に、職員時代に取得した「外交官旅券」を使用していたことが新たに判明。不正使用などの疑いで当局が調査を開始した。
ベナラ氏は、国会調査委で9月に行われた聴聞の際に、外交官旅券は大統領府の執務室内に置いてあり、現在は所持していないと証言していた。ベナラ氏はマスコミとのインタビューの中で、外交官旅券は10月初めの時点で大統領府の従業員の手で自身に「返還」されたものであり、聴聞では虚偽申告はしていないし、不正使用をしたわけでもないと説明。さらに、マクロン大統領や大統領府のスタッフとの間で通信アプリ「テレグラム」を通じた交流があり、マクロン大統領には、「黄色蛍光ベスト」の抗議行動についてどう思うかと尋ねられ、回答した、などと言明し、自身が現在でも大統領の協力者として活動している旨を証言した。大統領府はこの発言について、「大統領が『黄色蛍光ベスト』や治安問題を巡りベナラ氏と協議したという事実はなく、ベナラ氏は公式にも、また非公式にも、大統領府の特使のような役割を担ったことは一切ない」と否定している。