欧州諸国で求人難が深刻に

欧州諸国で求人難が深刻になっている。経済成長が顕著な東欧諸国、完全雇用が実現している北欧諸国だけでなく、まだ失業率が高めの南欧諸国でも、有資格の労働力確保が困難になっている。
東欧諸国の場合は軒並み経済成長率が高い。ポーランドで4.8%、ハンガリーで4.3%、チェコで3%など、欧州平均の2.1%より高い経済成長を達成している。これに高齢化による労働力人口の目減りと、高めの賃金に誘われた外国への人材流出が加わり、国内での人材確保が困難な状況が出現している。ポーランドの場合は、2017年末時点で満たされていない求人の数が11万8000人分に上り、1年間で50%の大幅増を記録した。製造業、物流、建設、情報処理で特に求人難が目立つ。移民労働力が頼みの綱で、特に政情不安のウクライナからの移民の採用が大きく拡大している。ウクライナ人では足らず、最近では特にカトリック国であるフィリピン移民の受け入れが拡大している。ただ、ポーランドを含めて、東欧諸国は移民の受け入れには消極的であり、ハンガリーの場合は移民への拒否反応が特に強い。ハンガリーでは賃上げによる労働力確保が主流だが、ある調査によると、外国に流出した人材の10%のみが、賃上げを経て帰国する考えがあると回答している。
北欧諸国では、完全雇用が実現し、人材難が全部門に広がっている。ドイツの場合、失業率が10月に3.5%を割り込んだ。120万人分の求人が満たされておらず、工業が盛んなバーテン・ビュルテンベルク州の場合は、失業率が2%弱にまで下がり、60%の企業が、有資格労働力の不足が自社にとってリスクになっていると回答している。中小企業で状況は特に厳しい。ドイツ政府は先頃、EU域外からの有資格労働力の受け入れを容易にする内容の移民改正法案を閣議決定した。求人難は経済成長の鈍化を招く恐れもあり、ドイツ連銀は2019年の経済成長率予測を0.1ポイント引き下げ、1.5%とした。
南欧諸国では失業率がまだ高く、スペインで14.8%、イタリアで10.6%、フランスでも8.9%に上っている。景気拡大局面には労働力不足が生じるのは自然の流れだとする見方もあるが、人材育成の失敗に由来する構造的失業の問題に直面しているとする厳しい見方も出されている。フランスでも、経済危機以前の水準と比べて、構造的失業の厚みが増し、景気拡大では失業者を吸収できない体質になっていることが考えられる。